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シリンダーとピストンを脱着する

DJ-1Rはエンジンをフレームに付けたままでも簡単にシリンダーやピストンを外せるのでありがたい。まずは強制空冷ファンのカバーを先に外してしまう。これは8mmのレンチでボルト2本を取ればOK。

次にマフラーを取り外す。エキゾーストパイプ取り付け部のスタッドボルトのナットは、10mmのボックスレンチを突っ込んで回す。あとはマフラーを支える3本のボルトを外せばマフラーが取れる。

シリンダーを覆う導風カバーは奥の2本のボルトを8mmレンチで外すと取れる。

シリンダーヘッドとシリンダーは4本のシリンダーボルトで共締めされている。10mmのボックスレンチでボルトを抜いて外す。

シリンダーヘッドとシリンダーの間にはアルミのガスケットが入っている。厚さ0.4mm。これは再利用することに。

シリンダーのスカート部分がクランクケースに差し込まれているので、シリンダーが抜きにくい時はプラハンで少し叩いてやる。それとピストンは下死点の位置まで下げておいたほうが、当然シリンダーは抜きやすい。

ピストンピンは両端のサークリップで止まっているので、まずは手前のサークリップだけをラジオペンチで取り外し、次にピストンピンを奥からドライバーなどで優しく押し出す。クランクを横方向に押さないように、しっかりとピストンを固定しておくことに注意。また、サークリップをクランクケース内に落とさないように必ずウエスなどでクランクケースの穴を覆っておく。

DJ-1Rはクランクケースリードバルブ方式。こんな感じに吸気ポートが覗いている。中央に支柱あり。コンロッドスモールエンドのニードルベアリングもいったん外し、クランクケースの穴をウエスで覆っておく。シリンダーガスケットは今回はそのまま再利用するので剥がさないでそっとしておく。厚さ0.4mm。

取り外したシリンダーヘッドとシリンダー、そしてシリンダーの中にピストン。シリンダーは鉄製なので赤錆だらけ。ちなみにシリンダーヘッドは、裏面にリブがある辺が車体右側を向く。この方向からファンの風がシリンダーヘッドに当るのだ。

カーボンの汚れ等を灯油で落とす。ガスケットのカスなどは百均で買ったスクレーパーできれいにしておいた。

ピストンリングの入る溝のカーボンもきれいにして、リングを再び組み付ける。本当はピストンもリングも面取りをした方がいいようだが、新品ではないのでそのまま組み付けることに。下のセカンドリング内側にはこのエキスパンダを入れるので最初に組み込む。

そしてセカンドリングからピストンにはめる。合口近くに「N」のリングマークがある面を上にしてはめ込む。トップリングはテーパーになっている方の面を上にしてはめ込む。

スモールエンドニードルベアリングとピストンピンに2ストオイルのGR2を少し塗って、コンロッドに取り付ける。ピストンには取り付け向きがあるので、ピストンヘッドにある「EX」マークの方を排気側になるようにセット。そしてピストンピンを手前から差し込み、サークリップを入れて固定する。サークリップは合口から1/4のところをつまむのがコツ。そうするとうまく縮められて素直に溝にはまってくれるハズ。

シリンダーをピストンに被せる。ピストンリングの合口の位置をストッパピン位置に正しくセットして、片手でトップリングとセカンドリングを同時に押し縮めながら、もう一方の手でシリンダーを被せる。この時、シリンダーを回転させるのは厳禁。ピストンリングが回ってストッパピンに乗り上げてしまう。必ず真っすぐにピストンを入れ込んでいく。ピストンとシリンダー内壁には薄くGR2を塗っておいた。たぶん大量に塗るとそのままカーボン汚れになる気がするし、最初のアイドリングで焼き付くことはないと思うので、ほんの少量のGR2でいいと思う。

シリンダーヘッドガスケットを乗せる。ピストンは上死点の位置にしておけば安定する。

4本のシリンダーボルトを差し込んで、まずは軽く手で締めておいて、キックで何回もピストンを上下させて「センター出し」。シリンダーにノックピンが入っていないので、こうしないとシリンダーの位置が偏ってしまう気がする。このエンジンは縦型なのでセンター出しが楽でありがたい。横型だとスクーターを立てなければ・・・。そして軽く締めたらまた何度もキックして完全にセンターを出すようにして本締め。締め付けトルクは1.2kg-m程度で良いと思う。もちろん4本のシリンダーボルトは必ず対角線の順で均一なトルクになるように締める。

導風カバーを付けて、スパークプラグも取り付ける。プラグは最初に手で締め付け、止まったところから1/8回転程度締め付けてOK。これでシリンダーとピストンの脱着完了。

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