ラジエータを取り付ける

レースレギュレーションで冷却水は水道水を使うことになっている。これは普通のクーラントだとコース上に漏れた場合滑るからだ。ただの水なので、走らない時は錆予防のために水を抜いておかなければいけない。それでラジエータを外して保管してあったのだろうと思っていたが、どうやら「純正ラジエータに戻す製作途中」というのが本当のところのようだ。ラジエータホースをよく見るとHRCラジエータ用らしく、各シリンダから直接ラジエータにつながる取り回しになっていた。

これがノーマルのMC21の湾曲ラジエータ。ラジエータグリルの網は外されているが、まァ、コース上はきれいなので問題はないと思う。ラジエータキャップにロック用のビスがないのでキャップは社外品かも。もしかしたら少し圧を高められる強めのスプリングが入っているかも知れない。それはともかくとして、このノーマルのラジエータが取り付け出来ない状態になっていたのが問題。

ラジエータを仮止めしてもラジエータホースが全然合わない。そこですべてのホースを純正の新品に取り替えることにする。ホースバンドも新品に換装。やはり新品はゴムが柔らかくて取り付けが楽だ。シリコングリスを少し付けてはめ込んでみた。
普通のスプリントレースならこのノーマルのラジエータで十分だと思うのだが・・・。ちなみにHRCラジエータは当時12万円以上した。たぶん真夏の4耐レース用に付けたのだと思う。

HRCラジエータは、ラジエータ本体にブルドン管を差し込む穴があってそこから水温を計るタイプ。このままでは水温が計れないので、取り外されていたノーマルのサーモスタットケースを使うことにする。ここにサーモセンサーが付いているのだ。

これがサーモスタットケース。冷却水の流れをよくするために中のサーモスタットはごっそり抜いてある。サーキットではサーモスタットを働かせて水流をカットする使い方はしないので、あれば抵抗になるだけ。中を覗くとがらんどう。サーモスタット分の厚みのHRCのシールを入れて組み付けてあると思う。これはHRCセットアップマニュアルにある方法だ。締め付けトルク1.0kg-m。下部の出っ張りがサーモセンサー。上部にあるのがアース端子。この両方をハーネスに接続すれば純正の水温計が動くはず。

SPハーネスにもちゃんと水温計への端子とアース端子がついていた。タイラップでまとめられていたから、やはり純正のサーモセンサーは使ってなかったと思う。

見慣れないキャブレータボックスが付いていた。ラジエータまで前部が長く伸びているタイプで、1993年発行の90〜93NSR用HRCパーツリストには載っていない。これだとラジエータを通過した一部の走行風がキャブレータボックス内に入ってしまう。前端にファスナー穴が開いていたのでそこにフタを取付けるのかも。それとももしかしたらラム圧を狙ったキャブレータボックスなのかも知れない。いずれにしてもこのキャブレータボックスで今回のサーモスタットケースとハーネスとが仕切られてしまってつなげないので、前部をいったん取り外した。※あとでこのキャブレータボックスはHRC製のMC28用のモノだと分かった。

ラジエータホースは純正とすべて微妙に長さが違っていた。10mm違うと取付けに支障が出てくるのだ。純正ホースに取り替えたら当然のことながらきっちりノーマルラジエータが取り付けられた。

RCバルブサーボの下にサーモスタットケースを納める。どうも隙間にキャブレータボックスの前部の仕切りが差し込めそうな感じ。これならサーモセンサーとアースのリード線が通る穴をキャブレータボックスに開けるだけでなんとかなりそうだ。後日加工することにしよう。

こんな感じでぴったりと装着。HRCのパーツリストにはラジエータのアッパーカバー(導風板)も載っているが、これはまァ付けなくてもいいと思う。また、セットアップマニュアルによるとラジエータとカウルサイドの隙間をスポンジで埋めろと書いてあるが、これはどうしようか。

HRCラジエータ用のアンダーステー。ノーマルのラジエータには使えないので取り外してしまった。ラジエータガードのビス穴を使ってなんとか固定出来そうな気もするが・・・。

ノーマルはフロントシリンダヘッドのスタッドボルトにダブルナットでアンダーステーが付いているが、これには袋ナットが付いていた。この方がスタッドボルト先端が錆びなくていい。ということでアンダーステーが取付けられないので無しで済ますことに。城北ホンダでもJhaチャンバーに換えた時はアンダーステーは取り外すと説明していたようだ。ラジエータ上部の2箇所と、あとはホース2箇所でうまく固定出来てしまっている感じ。

デイトナのデジタル水温計がトップブリッジに付けられていたが、これも取り外した。サーモセンサー部が付いていないので使用不可。この製品のサーモセンサー部を手に入れられれば、純正のサーモスタットケースに取付けられるようだ。たぶん取り付け部の径は同じ。

キャブレータボックスの前部を取り出して、ここにリード線用の穴を開ける。アースの穴は最初にドリルで開けておいて、さらにダイアモンドヤスリで小判型に広げた。ヤスリはけっこう面倒なのでサーモセンサーの穴は半田ごてでジュッ。これが一番簡単だった。

こうして無事、キャブレータボックスも装着OKに。サーモスタットケースの頭の上に半透明のキャブレータボックスが覆い被さっている。この覆いの上にハーネスが通っているわけだ。

せっかくなので潰れたフィンを1枚1枚ピンセットで修正しておいた。これでどれだけ効果があるか分らないが、冬期、ガムテープでラジエータの前面を少しカバーすると確実に水温が上がるところをみると、やはり風が通らなければそれなりに性能がダウンすると思う。地道な作業で半日かかってしまった。

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