腰上をOHする

2014年冬、オフシーズンの間にピストンリング、スモールエンドベアリング、ピストンピン、リードバルブ等を新品にしておく。スパークプラグは新品のスペアが熱価10.5だったので、既存の熱価10をそのまま継続して使ってみる。
まずはラジエータ液を抜いてラジエータ、ラジエータホースを外すが、モクールを入れてあるのでラジエータ液を出来るだけ回収して再利用。コーヒーフィルターで漉して、2Lのペットボトルに保管しておいた。

レーシングスタンドをかけた状態でフロントタイヤをペール缶の上に乗せて作業開始ペール缶の丸い接地面が絶妙でしっかり安定するし、回り込んでの作業でも邪魔にならない。フロントブレーキをかけておいてホイールを片手で持ち上げれば簡単にペール缶の上にタイヤが乗る。そしてこうしておけばエンジンが目の前の高さにまで上がり、作業がものすごく楽になるのだ。

スパークプラグやRCバルブのプーリー(注意 : プーリーの取付けネジは左ネジなので注意)等を外し、シリンダヘッドを開ける。写真はリアシリンダ。少々ラジエータ液がこぼれても油分ではじかれるので問題ない。ピストンヘッドの焼け具合でジェッティングをチェック。ヘッド中央は全開域(メインジェット)、その周囲の中間部は中間域のジェッティングの影響が現れる。概ね良い感じ。ただ、ピストンヘッド排気側にポンチ跡のようなデトネーション傷が1つ出来ていた。
 

こちらはフロントシリンダ。シリンダヘッドが外れにくい時はゴムハンマーで叩いて外す。ピストンヘッドはやや湿っていて、こちらは少し濃い状態だった。

次にシリンダを外す。ガスケットで固着しているのでゴムハンマーで叩いて外す。最初にバイクを左右に傾けてしっかりとラジエータ液を抜いておけば、ほとんどラジエータ液は出て来ない。

ピストンピンリングを外して、ピストンピンを抜き、ピストンを外す。この際、ピストンピンリングが跳ねてクランクケース内に落ちないよう、用心のためにキッチンペーパー等をクランクケースの穴に詰めて塞いでおく。また、ピストンピンを抜く際にはコンロッドを横方向に強く押さないように注意する。

ガスケットをスクレイパーはがす。ヘタに力を入れると合わせ面にキズを入れてしまうので、パーマテックスのガスケットリムーバーを筆で塗っておいてドロドロにしてからスクレイパーできれいにしてみる。ガスケットリムーバーは楽で良かった。

い時期なので室内に持ち込めるパーツは室内で清掃。RCバルブのカーボンはひどくなかったのでそのまま。ピストンヘッドはCRC556を吹き付けてワイヤーブラシで擦ってきれいに。

リードバルブアッシーはHRCの新品のリードバルブに交換。リードバルブスペーサーが組み込んであったので同じようにセット。スペーサーの厚みの分リードバルブストッパーが後退し、それだけリードバルブが余計に開くようになる。

ピストンリングの溝に2ストオイルを塗ってから新品のリングをセットセカンドリングは長方形の断面だが、トップリングは台形になっているので見分けがつく。リング表面に刻まれたNマークを上にしてそれぞれセット。

スモールエンドベアリングとピストンピンにも2ストオイルを塗ってピストンの取付け。ピストンリングストッパーのある方が吸気側。
ガスケットにはシリコンオイルを塗ってラジエータ液のしみ出しを予防。2本のノックピンを忘れずに取付ける。またスタッドボルトにはかじり予防にグリスを塗っておいた。そしてピストンとシリンダー内面にも2ストオイルを塗り、ピストンリングを指で押さえながらシリンダーをはめ込む。リングストッパーにリングが乗り上げないように気をつけ、また、シリンダを回転させることはせずに真っすぐ押し込むように。シリンダナットの締め付けトルクは2.5kg-m。

そしてシリンダヘッドを取付ける。ガスケットは突起を吸気側に向け、EXUPマークを上面にしてセット。このガスケットにもシリコンオイルを塗っておいた。スタッドボルトにはかじり予防のグリスを塗布。シリンダヘッドナットの締め付けトルクは2.3kg-m。

RCバルブプーリーはアジャスターを緩めずに外したのでそのまま取付け。ロッド先端の四角とRCバルブプーリーの四角穴をしっかりと合わせるようにする。プーリーの取付けネジは左ネジなので注意。締め付けトルクは0.8〜1.0kg-m。

リードバルブアッシーセットし、インテークマニホールドを取付ける。

スパークプラグ、ラジエータ、チャンバー等を取付け、ラジエータにモクール入りのラジエータ液を入れる。

ッテリーを取付け、スロットルポジションセンサーの白いカプラーを抜いてキルスイッチをON位置に。するとRCバルブが動いてハイとローの中間位置で止まるので、この状態でシリンダー側のプーリーの指針が基準値になっているか確認。カプラーを接続し、キャブレータ、ガソリンタンクを取付けキックでエンジンスタート。しかし、なぜか不調。フロントシリンダのプラグをチェックするとまったく濡れていないのでガスが来ていないと判断。片排で回っているようだ。
キャブレータを外してフロートチャンバーをチェックしてみるとやはりガスが溜まった様子がない。取り外したまま放置しておいた際、フロートがオイル分で固着するなどして下がらない状態になっていたのかも・・・。一応フロートバルブやガスの経路を洗浄して再び組み付け。今度は無事エンジンが回ってくれた。これで腰上OH完了。

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