88ロスのフロントフォークOH

88ロスにつけてあるのは、88テラについていた約6,000km走行のフロントフォーク。程度はかなりいい感じ。ただ、最初に一度オイル交換はしたものの、オーバーホールせずに使っていた。18年前のモノなので、今回オーバーホールしてみる。ダストシールに裂け目があったのも気になっていたし・・・。まずはカウルを外し、フロントスタンドで支えてホイール、フォークを取り外す。

フォーク上部のフォークボルトを24mmのメガネレンチで緩めてオイルを抜く。ちなみに締め付けトルクは1.5〜3.0kg-m。Oリングが付いているので適当でもOKな感じだ。フォークオイルはホンダ純正のウルトラCO10号(SAE 10W)。まだ全然劣化していない感じだった。今回もコレでいく。

ボトムケースからソケットボルトを6番の六角レンチで抜く。ここはネジをなめてしまう失敗談をよく聞く箇所。CRC556をかけておいて、ネジゆるめ剤を少しつけて摩擦係数を高めておいた。六角レンチにメガネレンチをかませていっきに力を入れる。この時失敗するのは、力を入れた瞬間にフォークが少し動く場合。こうなると六角レンチがしなるだけでボルトはゆるまない。足の押さえつけ具合がキモなのだ。

これで中のシートパイプが外れる。ダストシールをマイナスドライバーでこじって外しておき、あとはスライドハンマーの要領でボトムケースからフォークパイプを抜き取って分解完了。スプリングの自由長を計ってみると267.2mmで新品と同じ。ちなみに261.9mm以下で要交換だ。

オイルロックピースの内側にサビが付いていたので2000番のサンドペーパーで磨いておいた。アルミのサビではないのでどこかスチール部分が錆びたのだろう。今回左右ともオイルロックピースの中が汚れていたが、オイル以外の不純物が少し沈殿していた感じだ。やはりオーバーホールして正解だったか。

スペーサーの内部にサビがあったので、ここは800番のサンドペーパーで磨いておいた。水分が入り込んでいたのか、それとも結露などでこうなるのかはちょっと分らないが、いずれにしろこれでOK。幸いスプリングの方はまったくサビなどは見られなかった。

フォークパイプブッシュを交換。右の古い方は表面のテフロンに傷があって一部めくれていた。あとはそんなにダメージがなかったが、オーバーホールするならやはりこのフォークパイプブッシュは交換しておきたい。

これはガイドブッシュ。こちらも新品に交換。右側が古い方だが、内側の剥げをチェック。見た目ではあまり問題ない感じ。ただ、もうすっかりツルツルになっていたのでやはり要交換だろう。新品では微妙にデコボコしていて、ここにオイルが溜まってフリクションロスを防ぐらしい。

バックアップリングがかなり錆びていた。これも思い切って新品に換えておいた。これはダストシールから入った水分で錆びたのかも知れない。あと、フォークボルトの裏のアジャスタープレートが錆びていたので、これもサンドペーパーできれいに磨いておいた。たぶん、ここから落ちた錆がオイルの中に入っていった気がする。

シートパイプのピストンリングもせっかくなので新品に交換。へたっているかどうかまったく分らなかった。たぶんこれは交換しなくても大丈夫だったと思う。それと、シートパイプにバリがあってこれが取れそうになっていた。こんなのがボトムケースの中に落ちたら問題なのできれいに取っておいた。

ソケットボルトを取り付けてシートパイプを固定。ソケットボルトのシーリングワッシャーは新品に換え、ネジロック剤を根元に塗っておいた。シーリング剤を塗る人もいるようだが、どちらがいいか・・・? 締め付けトルクは1.5〜2.5kg-m。ネジロック剤を塗ってあるので、手で思いっきり締める程度にしておいた。そして写真のようにガイドブッシュを入れ、バックアップリングを塩ビパイプを使って打ち込む。

そのあとオイルシールも同じように打ち込む。リップにはフォークオイルを塗る事になっているが、グリスを塗っておいた、これがいいのかどうかはイマイチ分らない。オイルシールの上にもグリスを塗って、水分のブロックにしておいた。こうするとフォークパイプにグリスが付いてくるが、それがフォークパイプのサビ止めにもなる。ただし、ゴミを拾ってかえってシールを痛めるという説もある。あとでいろいろ調べたら、グリースが抵抗になってフォークパイプにカジりが出る(摩擦で焼き付く感じ)ことがあるので止めた方がいいとのこと。まァ、街乗り程度なら大丈夫みたいだが・・・。

フォークパイプをいっぱいに縮めて、フォークオイルを入れる。そのあと何度もストロークさせてオイルを行き渡らせ、気泡が消えたところで量をチェック。88のフォークは油面で128mm。例によってスポイトの長さを128mmにして、これでオイルを吸わせて油面を決定。最後にスプリング、スプリングシート、スペーサーを入れて、フォークボルトを取り付ける。

88ロスに取り付けて、これでオーバーホール終了だ。試走してみたら、初期のふんばりが強くなってステアリングがクイックになった感じ。また、深くリーンさせた時もしっかりしたフィーリングでものすごく安定している。今回、あまり変化はないかも、と始めたオーバーホールだったが、はっきり体感出来るほどいい感じになって、これには満足。

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