ホイールベアリングを交換する

2012/05/07、前後ホイールのベアリングを交換。ドリブンフランジサイドベアリングに少しゴリゴリ感があるのが気になる。他のベアリングは特に違和感は無いのだが、なにしろ45,359kmで購入した中古のVF1000Rなので、この際、全部のホイールベアリングを交換することに。
フロントホイールベアリング 961506302010×2個(1,236円)
ドリブンフランジサイドベアリング 961406305010(887円)
リアホイールRベアリング 961506205010(738円)
リアホイールLベアリング 961506204010(698円)

まずはリアホイールから。ドリブンフランジをリアホイールから引き抜き、内側を下向きに板の上において、最初にリアアクスルスリーブを打ち出す。これはソケットレンチの17mmのソケットを突っ込んで金槌でガンガンやれば簡単に下に打ち出せる。リアアクスルスリーブを抜くとリアホイールサイドカラーが手で抜ける。

リアホイールサイドカラーを抜いたら、ダストシールを外す。本来は新品にすべきだが今回は再使用。リップを出来るだけ傷つけないように工夫して取り外す。リップ周囲にある締め付け用のスプリングを最初に外しておくとスプリングを切らないで済むかも知れない。取り外す際、ダストシールが歪んでしまったら、金槌で平らに修正しておく。

ダストシールを外すとスナップリングが見えるのでこれを取り外す。このスナップリングがあるために、内側からベアリングとダストシールを一緒に打ち出す「技」が使えない。もしそれが出来ればダストシールを変型させることなく取り外せるのだが・・・。スナップリングを外したら、内側からまた適当なサイズのソケットを当てがい、金槌でベアリングを打ち出す。

新しいドリブンフランジサイドベアリングをセット。シールされていない方を内側に向けて圧入する。その際、グリスをベアリング内に詰めておくのだが、すでに入っていたのでそのまま。そして、古いベアリングを当てがって打ち込む。ベアリングが座面に当たると音が変るので、完全に打ち込まれたかどうかの確認は簡単だ。スナップリングを再びセットしたら、ダストシールのリップにグリスを塗って取り付け、リアホイールサイドカラーをはめる。

スプロケット側を下にしてリアホイールサイドカラーを接地させておき、そこにリアアクスルスリーブを圧入。これも完全に止まるまで打ち込めばいい。17mmのソケットを当てがってガンガン。これでドリブンフランジサイドベアリングの交換完了。

次にリアホイールの左右のベアリングを取り外す。リアブレーキディスクを上にして置き、17mmのソケットをホイールサイドカラーの中に突っ込んで金槌で打つ。これで中のディスタンスカラーとLベアリングが一緒に打ち出せる。

左側に打ち出したディスタンスカラーとLベアリング。こうなると右側のホイールサイドカラーが手で抜ける。ダストシールはそのままでいいので、今度は左からエクステンションバーにつけたソケットなどを差し込んで、Rベアリングとダストシールを一緒に打ち出す。

こうして両サイドのベアリングを打ち出したら、新しいベアリングを圧入する。最初に打ち込むのは基準になるRベアリングから。必ずベアリングの外リングを打つように気をつけて、音が変るまで完全に打ち込む。今回は少し小さめの古いベアリングを当てがって、対角で少しずつ打ち込んでみた。ベアリングの内リングを打ってしまうとベアリングを痛めてしまうので気をつけなければ・・・。

ダストシールは再使用。防水のためリップにグリスを塗って打ち込み、ホイールサイドカラーをセット。そしてひっくり返して右側を下にして板の上に置き、左側からディスタンスカラーを入れてホイールサイドカラーに打ち込む。やはりソケットを当てがい、止まるまでいっぱいに圧入。

最後にLベアリング打ち込むのだが、これはベアリングが座面に完全に当たるまで打ち込むとディスタンスカラーで内リングが押され過ぎてしまう。Lベアリングがディスタンスカラーに触れつつ、押されていないという微妙な寸止めが必要だ。ベアリングの内リングが圧迫されていると、両サイドのベアリングがスムーズに回らないのですぐに分かる。あとはドリブンフランジを被せてリアホイールのベアリング交換完了。

続いてフロントホイールのR、Lベアリングの交換。フロントフォーク両側のブレーキキャリパーブラケットを外してからフロントホイールを外す。ホイール右側の長いアクスルナットを22mmのスパナで外す。左側のアクスルの方は切り欠きに17mmのスパナをかませて押さえておく。締め付けトルクは5.5〜6.5kg-mだが、ベアリングが抵抗無く軽く回るように加減して締め付けるのが肝心。

アクスルを抜いたら、左側のスピードメーターギアボックスを外す。そして中のディスタンスカラーをずらせるだけずらし、現れたベアリングの「尻」を鋼材などを当てがい金槌で打ち抜く。写真は鋼材の丸棒を右側から突っ込んで、Lベアリングの尻を打ち、リテーナーとダストシールともども打ち出しているところ。鋼材のエッジが丸いとわずかなベアリングの尻に掛からないので出来るだけ直角なエッジの鋼材を選ぶのがコツ。ホイールは板の上に平らにおけばブレーキディスクも傷つかない。

Lベアリングとリテーナー、ダストシールが打ち出せたら、ディスタンスカラーを取り出し、今度は左側からソケットを突っ込んでRベアリングを打ち出す。そして新しいベアリングの圧入。これも位置決めの基準となるRベアリングから。適当なソケットを当てがって座面に完全に当たるまで打ち込む。

左側からディスタンスカラーを差し入れ、Lベアリングを打ち込む。

Lベアリングの打ち込み加減は微妙。中でディスタンスカラーがカタカタ踊っているようではダメだし、がっちりとベアリングの内リングに当たっているようではベアリングがスムーズに回らない。指でディスタンスカラーを力強く押すとぐぐっと少しズレる・・・といった職人的な寸止め打ち込み技術が必要。

左側にリテーナーを入れ、ダストシールを打ち込み、そしてスピードメーターギアボックスをリテーナーの爪に合うようにしてセット。最後にアクスルを通して締め付ければ、フロントホイールベアリングも交換完了。

さっそく試走してみると、クラッチを切って空走した時の勢いが全然違ってきた。なにか精度がぐっと上がった感じで、路面の状況がダイレクトに伝わってくる気がする。もともとひどいガタなどなかったのであまり期待はしていなかったのだが、これほどの変化とは。というか、これが新車の時の状態なので、いままでがひどい状態だっただけのことなのだが・・・。師匠によると、動きの大きいドリブンフランジサイドベアリングなどは消耗品だというし、やはり距離を走った中古車を購入した場合、ホイールベアリング交換は必須ということか。VF1000Rが別のバイクになったような動きで、これはやって正解だった。

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